なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part01



Part01



 大陸の南にあるこの街の周辺には、古い建造物や洞窟、地下遺跡などが点在している。
 それらには、必ずと言っていいほどに、お宝が眠っているものだ。
 そして、お宝を求めて、トレジャーハンターたちがこの街に集まる。
 私も、その一人だ。

 トレジャーハンターを始めて、もう1年が過ぎた。その間見つけたお宝は、まあ、小粒な物ばかりなんだけど、食うに困ったことは一度も無い。順調と言えば、順調なわけだ。
 そして私は、今日も今日とて情報屋へ向かう。この仕事は、情報が命。闇雲にそこらを探し回ったところで、そうそうお宝は見つからないからだ。


 いつも通りの賑やかな大通りから細い道へ入って数分。贔屓にしている情報屋のドアを開ける。
「うぃーっす」
 狭く薄暗い店内へ、いつも通りの挨拶を放つと、奥から「はいよー」という、これまたいつも通りの声が返ってきた。
 すぐに姿を見せるのは、私より頭一つ分は背が高く、ガタイのいいおっさんだ。

「毎日毎日、ご苦労なこったな。ビアンカよ」
 情報屋のオヤジは、髭面に笑みを浮かべて椅子に座る。ビアンカというのは、私の名前だ。
「最近、ロクな情報が買えないんでね。毎日働かなきゃやってらんないの」

挿絵1-01

 紙がべたべた貼られ、上にもごちゃごちゃ紙が積まれたカウンターに手をつく私を、オヤジは「ふっ」と鼻で笑う。
「おめぇはいつも遅ぇんだよ。いい情報ってのはな、スピード勝負だ。もう少し早く来れば、もっとデカくて質のいい情報を売ってやれるんだぜ?」
「はいはい。それもう何回も聞いた。でも仕方ないでしょ? 夜更かしと睡眠不足は、お肌の大敵なんだから」
 そう。私はいつも、ほかのトレジャーハンターより出遅れる。理由は一つ。早寝遅起きだからだ。
 おまけに、朝も弱い。正直、今も結構ぼんやりしている。
「お肌お肌って、おめぇまだ16だろ。そういうのはな、ガキ共に“おばさん”って呼ばれるようになってから気にすりゃいいんだよ」
 呆れたように言うオヤジに、私はすぐさま言葉を返す。
「“おばさん”って呼ばれるのをできるだけ遅らせるために、今から気をつけてるんでしょ」
「ああ、そうかい。そりゃまたご苦労さん」

「そんなことより、何か情報入ってないの?」
 不毛な会話を切り上げ、本題に入る。すると、オヤジもすっと商売人の顔になり、近くの紙の山から一枚取り出す。
「……こいつは噂話のレベルなんだがな、おめぇ、北の方にでっかい森があるの知ってるか?」
「森? ……ああ、うん」
 この街からずっと北へ行ったところに、人の手が加わってない森があるって、誰かが話していたのを聞いたことがある。
「その森の中にな、魔女の家があるらしい」
「魔女ぉ?」
 変な声が出てしまった。まあ、仕方ないと思う。

 その昔、世界を恐怖に陥れた伝説的存在。歴史書なんかじゃ、人間と長い間戦争をして全滅させられちゃった、とかなんとか書かれていたはず。

 もういないはずの魔女が、森の中に家を建てて暮らしてる?
 そりゃ確かに、噂話だな。
 ……でも、一応聞いておきたいことはある。

「で? そこに何があるっていうの?」
 すると、オヤジは手のひらをカウンターの上に出してきた。
「ここから先は有料だ。噂話とはいえ、タダで教えるわきゃねぇだろ?」
 ……だと思ったよ。クソオヤジめ。
「確かな情報じゃねぇからな、特別安くしてやるよ」
「当たり前でしょ」
「そうだな。ま、八割引きくらいにしといてやるか」
 ちょいちょいと動かされる手に、いつも払っている額の八割引きくらいの金を乗せてやる。
 すぐさま手を引っ込めて金を数えたオヤジは、「ま、いいだろ」と頷き、話し始めた。
「魔女ってのはな、魔術でいろんなもんを作ることができるのさ」
「いろんなもんって?」
「妙な薬やら、動く人形やら、とにかく俺らにゃ手に負えねぇような不思議なもんばっか作ってたって話だ」
 私は目を細める。
「そんなの、もし手に入ったとしても売れないんじゃないの?」
「いやいや、んなことねぇだろ。世の中にはな、物好きがいるもんさ。おめぇだって、そういう奴らを何人も見てきただろ?」
 ……確かに、何に使えるのかわからない物を喜んで買っていく人たちが、いないわけじゃない。

「それによ、魔女ってのは金とか宝石とかも、自在に作れたらしいぜ?」
 ニヤリとしているオヤジの言葉に、ドクンと胸が踊った。
「マジ? それを早く言いなさいよ!」
 今回もハズレかなと萎んでいたやる気が、一気に膨れ上がるのを感じる。

挿絵1-02

「目の色変えてるが、あくまで噂話だからな? 行ってなんにも見つかんなくても、文句言うんじゃねぇぞ?」
 面倒くさそうなオヤジの言葉は、耳から入って反対の耳から抜けていった。
 そして、こうしちゃいられないと、ドアを開ける。
「おい。無茶すんじゃねぇぞ。その森は、誰も近付かねぇような場所なんだからな」
 背中に、オヤジの声が当たる。
「わかってる。じゃあね。情報ありがと」
 振り返らずにそう言って、ドアを閉めると同時に駆け出す。

 さっさと準備して、お宝探しに行かなくちゃ!



■以下、作者コメント■

以前から、挿絵付きの小説を書いてみたかったので、それを今回からやっていきます。
挿絵は、引き続き「メディバンペイント Pro」で描いています。
今のところ、全12パート予定。
息抜きのつもりで始めたので、そんなに長い小説にはなりません。文章量も、できるだけ抑える方向で。

小説を書くのは1年ぶりだったので、ちゃんと書けるか心配でしたが、意外となんとかなるものですね。

これが今年最後の更新となります。次回の更新は、2016年1月9日(土)を予定。
パート1を掲載して、いきなり2週間も間が開けることになるとは……。
……まあ、その間に少しでもストックを作って、余裕を持って進めていけるようにしておきます。

それでは、良いお年を。

■ 2015/12/26 更新

Part02 →


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