なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part11



Part11



 この広い空間から続く道。その先に何があるのかを考えるより先に、上を見上げる。
「ねえ、上にさ、ここに繋がる以外の道はあった?」
 穴に落ちてしまった私は、進む先に何があったのかを知らない。
 ローザは「まあ……」と曖昧に頷いた。
「ちゃんと確かめてはいないけど、まだ奥の方に繋がってそうではあったよ」
 となると、上の道と、いま目の前にある下の道、どっちが洞窟の一番奥に繋がっているのか気になるところだ。
 もしかしたら、両方繋がっているかもしれないし、その逆も考えられる。
「どうする? こっちから進んでみる?」
 問うと、ローザはだるそうな顔をこちらに向けた。
「どっちを選ぶかなんて、私にそんな余裕があると思う?」
「……無いよね」
 結論は、もう出てるってことだ。
「じゃあ、行こうか」
 一歩を踏み出す私を、突如ローラは「待って」と制した。
 どうしたのと聞く前に、その理由を知る。

「! 魔物……!」
 目の前の穴から、いくつもの影が素早く飛び出してきた。身構えた時には、すでに包囲された後。
 私たちは、自然と背中合わせになる。

挿絵11-01

「……ここに来るの、間に合って良かったよ」
「ホントにね」
 ローザが来るのが少しでも遅れていたら、私はこいつらに殺されていたわけだ。考えただけで、ゾッとする。
「……あ」
 剣を構えようとして、そういえばどこかへ行ったままだったことに気付いた。
「どうしたの?」
「剣が無いの」
「はあ?」
「落ちた時に、手放しちゃったんだよ!」
 一緒に落ちたなら、近くにあるはず。慌てて辺りを見渡した私は、すぐにその姿を捉えた。

 剣は、私たちがいる場所から少し離れた場所に転がっていた。けれど、それは私たちを包囲する魔物たちのさらに向こうだ。
 取りに行くには、この包囲を突破しなければならない。

 私たちを取り囲むのは、カエルのような容姿の、二足歩行の魔物たち。名前はフロッグマン。
 武器は、その大きな口から伸びる長い舌だ。その舌で獲物を捕らえて丸呑みにするというのが、こいつらの唯一の攻撃方法。まさに、カエルそのもの。
 身体は小さいけど、肉体的にかなり柔軟性があるようで、人間を飲み込んでも平気らしい。
 大抵群れで行動し、こんなふうに獲物を包囲して、じりじりと距離を詰めてくる。
 そうして、一斉に舌を伸ばして捕らえるというのが、こいつらの捕食パターンだ。


「とりあえず、剣を取りに行きたいんだけど、援護してくれる?」
「いいけど、足は大丈夫なの? 走れる?」
「そりゃ痛いけど、走るしかないでしょ」
 私の返答に、ローザは溜め息混じりに「わかった」と返してきた。
「じゃあ、行くよ!」
 声を合図に、私は剣目指して一直線に走り出す。足は、かなり痛い。
 そして予想通りに、何体かのフロッグマンが、私目がけて飛びかかってくる。

 さて、どんな援護をしてくれるのか――

「――ひぃっ!」
 頭のそばを、空気を切る音を纏って通り抜けていく何か。それが赤く光る玉と気付いた時には、フロッグマンに命中、爆発していた。
 爆発で吹き飛ぶフロッグマンたちの間を走り抜け、スピードを落とさずに身を屈めて剣を拾い上げる。
「危ないなぁ!」
 剣を構えてすぐに、ローザへ抗議。彼女は私に一瞥を残した後、ほかのフロッグマンに赤い魔法の玉を飛ばす。

 私がローザのもとへ戻ろうとするのと、ローザ目がけて複数のフロッグマンが突進し始めたのはほぼ同時。
 視界に入った奴らはどうにか対処したローザだったけど、後ろから迫ってきていた奴への反応が遅れる。
「おぉりゃあ!」
 そこへ私が駆けつけて剣を振り、フロッグマンの首を飛ばす。
 そして再び、背中合わせに。

「魔力が少なくて、あんまり威力が出せない。とどめはあんたが刺して」
「わかった!」
 確かに、魔法の玉が当たったフロッグマンは、いずれもまだ生きている。
 ローザの口ぶりから察するに、本来なら一撃で葬り去れる威力はあるんだろうけど。
「あと、……十一体。休まず一気にいくよ!」
 声を張り、気合いを入れる。ローザの様子を見るに、長期戦は無理。一気に決めなきゃ逆転負けだ。

 赤い魔法の玉を複数発生させるローザを確認してから、私は剣を構えて駆け出した。


 魔物は、どいつもこいつも連携って言葉を知らない。たぶん、そういう意識すら無いんだろう。
 このフロッグマンもそれは同じで、本能のまま食欲のままに襲いかかってくるだけ。
 複数体相手はそれなりにキツいけど、敵が威力の高い攻撃方法を持っていない限りは、冷静に数を減らしていけば確実に勝てる。
 こいつらの武器は長い舌のみ。つまり、それを斬ってしまえばほぼ無力化できるわけだ。
 でもまあ、それは私一人で戦う場合だけど。

 赤い魔法の玉を食らって弱った敵を、私が剣で斬って殺す。複数で来る場合、ローザはその分魔法の玉を連発し、爆風の中を私が斬る、斬る、斬る。
 十体以上いたフロッグマンは、あっという間に全滅した。


 刀身に付いた血を振り落とし、鞘に戻す。剣は脂でべたべただ。後で綺麗にしておかなくちゃ。
 ……あ〜、膝がズキズキする。

「終わったね……」
 そばにいたローザは、そう呟くと同時に膝を折り、フラッと地面にへたり込んだ。
「ローザ! 大丈夫?」
「大丈夫なわけ、ないでしょ……」
 ……まあ、そうだよね。

 明かりを維持し、私の怪我を治し、おまけに魔物との戦闘だ。おそらく、とっくに体力も魔力も限界を超えているのだろう。
 元気の無かった顔から、さらに生気が失われてきている。

 剣を鞘ごとベルトから外し、ローザの前で背中を向けてしゃがむ。
「ほい」
「……何してんの?」
「歩くの辛いでしょ? おんぶしてあげる」
「え……」
 躊躇いに満ちた声だ。遠慮してるのか?
「でも、まだ足だいぶ痛いでしょ?」
 まあね。でも、そんなこと言ってられない。
「これくらい我慢できるって。それより、またいつ魔物が出てくるかわかんないんだから、さっさと進まなきゃ。だから、ほら!」
「……言っておくけど、私、結構重いよ?」
 そりゃ、私と同じくらいの身長だし、痩せてるって感じの体型でもないし、見りゃわかる。
 言わないけど。

「いいから、早くしなよ」
「……わかった」
 衣擦れの音と共に、温かく柔らかな感触が覆い被さってきた。さてさて、果たしてちゃんと背負うことはできるのか。
「よっ……とぉっ!」
 おっもっ……! 膝がビキビキと悲鳴を上げる。うおお、……これは想像以上の重さだ。
 絶対私より重いでしょ、この子。

挿絵11-02

「大丈夫なの? なんか、すっごいプルプルしてるけど。肩を貸してくれるだけで良かったんだよ?」
 ……そういうことは先に言って。やると言った手前、やり通すしかないじゃない。
「だっ、いじょうぶ……! んじゃ、い、行くよ」
 のっしのっしと、奥へ続くと思しき通路へ向かう。
「ローザ。明かりは最低限。前と後ろだけでいいから。無理しないでよ?」
「わかってる」
 視界の隅で、白い魔法の玉が生み出され、私の前方に一つ移動してきた。

 ……よし、うう、行くか。



■以下、作者コメント■

挿絵1枚目は、ホント手間がかかりました。
パースをあまり理解できていないのが悪いんですけど、女の子たちと魔物(特に手前側)の比率が何度かおかしくなってしまって。
「この大きさだと、女の子たちの膝くらいまでの背しかないんじゃないか?」みたいな。
ホント、描けば描くほどに技術的にダメな点が見えてきますね。

それと、ビアンカがローザをおんぶするシーンですが、どうしてわざわざ、鞘ごと剣を外したのか。
……まあ、その理由を作れないことはないですが、ちょっと「ん?」ってなります。

もっと落ち着いて、もっと細かく、どこかおかしなところはないか考えながら書かないとダメですね。ホント。

■ 2016/03/12 更新

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