なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part12



Part12



 トレジャーハンターをしていると、結構重量のあるお宝を持ち歩くこともある。
 だから、筋力にはまあまあ自信があったんだけど、やっぱりひと一人の重みってのは、そういう物とはまた違うもんだとつくづく感じた。


「ねえ、ホントに大丈夫なの? なんか全然進まないんだけど」
 背中で好き勝手言ってくるローザに、はっきり言ってやりたい。

 あんたが重すぎて進まないんだよ、と。
 言わないけどさ。

「だいじょぶだってば。結構進んでるって」
 全然進んでないのは、自分が一番自覚している。だから、いちいち言わないでほしい。
「それより、あんたの方こそ大丈夫なの? 途中で魔力切れってことにならないでしょうね」
 もしそうなったら、私たちは二度と地上を拝めないだろう。
「心配しなくても、まだ大丈夫だよ。これ以上、あんたが余計な魔力を使わせなきゃね」
「う……」
 根に持ってるな、こいつ。まあ、助けてもらったんだから文句は言えない。

「……それにしても、深い洞窟だね。まだ一番奥に着かないの?」
「私も、こんなに奥まで続いてるなんて思わなかった」

 もう何時間歩いているんだろう。
 ローザほどじゃないにしても、だいぶ疲労は溜まってきている。これでまだ半分も行ってなかったとしたら、さすがに心が折れそうだ。

 などと考えていた時だった。
「――足音?」
 前方から、こちらへ向かってくる音。それは確かに、何者かの足音だ。
 そして、暗闇の中を走れる存在といえば、答えは一つ。
「ビアンカ!」
「わわっ」
 暗闇で何かが地を蹴る音を聞いた瞬間、慌てながらも、ローザを支えていた両手を反射的に放し、剣を抜き放って一閃。
 やや固い手応えと共に、潰れた声が通路に響いた。
 びしゃっと壁に叩きつけられる鮮血。地面を転がる肉の塊。生臭い臭いが立ち上る。
「……まだ残ってたのか」
 私に斬り殺されたのは、フロッグマンだった。
 剣を鞘に戻し、両腕両脚で私の身体にしがみついているローザの身体を、再び手で支え直す。
「気を抜かないでよ、ビアンカ。また出てくるかもしれないし」
「わかってるよ」
 吐き捨てるように答え、歩を再開。

 明かりがあるとはいえ、その光量は弱々しく、数メートル先も見えない。
 またいつ魔物が出てくるか……。そして、次もちゃんと対処できるのか……。
 いろいろと悩み緊張しながら、進み続けた。


「また、広い場所に出たね」
 しばらく何事も無く進んだ先に、再び開けた空間があった。
「降ろして」
 言われた通りに、そっとローザを降ろす。
 すると彼女は杖を構え、白い魔法の玉を複数発生させた。それらはゆっくり展開し、この空間の全貌がほぼ見渡せるようになる。
「……あ」
 そして私たちは、それに気付いた。奥の壁に、扉のような物があることに。
 ふらふらのローザを支えながら、奥へ向かう。


 それは、まるで遺跡で見かけるような重厚な扉だった。

挿絵12-01

「……開かない」
 手をかけられそうな箇所に力を込めても、びくともしない。鍵がかかっているのだろうか。
「先生の魔力を感じる」
「え? じゃあ、ここが……?」
 ここが、洞窟の一番奥ってことでいいのか?
 それより、扉をじっと見上げていたローザの言葉に、ある疑問が膨らんだ。
「あんたのお師匠さん、とっくに亡くなってるんでしょ? それなのに、魔力が残ってるの?」
 ローザは、私の方を見ずに説明の口を開く。
「物に宿した魔力は、術者が死んでもしばらく残るんだよ。もちろん、残さないようにもできるけど」
「じゃあ、これってもしかして、お師匠さんが意図的に残した物ってこと?」
「だと思う」
 ……何のために?

 これだけ近くまで来てようやく、ローザはそれに気付いた。目印のつもりで残すなら、洞窟の外からでも感じられるくらいの強い魔力を残した方がいいはず。

「……でも、この扉だけじゃない。壁の中にも魔力を込めてあるみたい」
「壁?」
「あそこ……」
 何かに気付いた様子で、ローザはある方向を指差した。見ると、扉から少し離れた部分の壁に、何かがあるのがわかった。

 行ってみると、そこにあったのは、壁に埋め込まれた黒く四角いプレートのような物だった。
「何、これ」
 呟く私の横で、ローザがおもむろにそのプレートへ手を伸ばし、触れた。
「――!」
 直後、パッと一瞬、プレートが光った。……が、それだけだ。
「もしかして……」
 ローザは、何かを感じ取ったようだ。私の方へ顔を向ける。
「ねえ、向こうにも同じ物が無い?」
「え?」
 聞かれ、扉を挟んだ反対側へ目を向ける。
「……ある、みたいだけど、これはなんなの?」
「たぶんだけど、これとそっちのプレートに二人同時に触れるのが、扉を開ける条件なんだと思う」
 なんか、その辺の遺跡にもありそうな仕掛けだなと思いつつ、ローザが言うなら間違いないんだろうと、私は「やってみよう」と頷いて見せた。


 扉の左右にあるプレートの前に立ち、顔を見合わせる。
「じゃあ、行くよ」
「うん」
 ローザが頷いたのを見てから、一呼吸。なんかちょっと、ドキドキするな。
「……せーのっ!」
 バシッと、プレートに触れる。すると、またプレートが光った。……が、またしても何も起こらない。
「なんで?」
「たぶん、ちょっとタイミングがズレたんだと思う」
 どっちが? ……いや、そんなこと考えちゃ駄目だ。
「じゃあ、もう一回いくよ」
 私の声に、再びローザは頷く。
「せーのっ!」
 触れたプレートが光り……。
「わっ」
 少し遅れて、ゴゴゴという重たい音を立てながら、扉がゆっくりと開き始めた。
「やった!」
 疲労を忘れ、私たちは扉の前に駆け寄る。

「……なんか、ぼんやり光ってない?」
 扉の先はちょっとした部屋になっているようだというのが、外からでもわかる程度の明かりがある。
 歩き出すローザの身体を支えながら、部屋の中へ。


 部屋の中には、ずらっと木製の棚が並んでいた。そこに入れられているのは、ほとんど本のようだ。
「……壁が、光ってる」
 室内に明かりらしき物は無く、壁自体が淡く光っていることに気付く。
「これも、お師匠さんの魔法?」
「たぶん」
 言葉を交わしながら、ゆっくり奥へ。立ち止まるローザ。
「……ここにある物からは、先生の魔力を感じる。どれも、ほんのわずかだけど」
「何のために、魔力を込めてあるのかな」
「単純に、腐食を防ぐためじゃないかと思う」
 そんなこともできるのか。魔法ってホントすごいな。
「で、ここにあるんだよね? ローザの役に立つ物が」
 彼女の師匠が、取りに行くよう言い残した物が。

「……たぶん、あれだと思う」
 ローザは、部屋の一番奥に置かれている木箱らしき物を指差した。
「なんでわかるの?」
「あの箱にだけ、先生の魔力を感じないから」
 つまり、腐食防止を施す必要が無い物。
 ローザがすぐに取りに来ると考えたからこそ、か?


 木箱のもとへ行き、ローザを支えながら木箱の前にしゃがませる。

挿絵12-02

 彼女は、少しの間木箱を見つめてから、意を決したように手を伸ばし、蓋を開けた。



■以下、作者コメント■

キャラの頭身が上がったり下がったり、安定しません。
でも、なんとなくですが、頭身が低い方が描きやすい気がします。
本当は、7頭身かそれ以上のスラッとしたキャラクターを描きたいんですけどね。
う〜ん、……私の絵柄だと、頭身は低い方がいいのかなぁ。悩みどころです。

さて、次回パート13で、この小説は終わりです。
連載を始めて、もう3ヶ月経つんですね。早いなぁ……。

■ 2016/03/19 更新

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