なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part02



Part02



 出かける準備を整えた私は、北へ向かうという馬車に相乗りさせて貰って街を出発。そして今、徒歩で森へ向かっている。馬車のおかげで距離はだいぶ稼げたものの、森はまだまだ先だ。

 辺りを見渡しても、あるのはのどかな草原ばかり。人っ子一人いやしない。馬車で一緒になった人にも言われたよ。この先には誰も住んでないって。

 でも、それを聞いて少し安心した。
 魔女なんかいないってわかってはいるけど、もし森の中に誰か住んでるらしいとか聞かされていたら、ちょっとびびってたかもしれない。

 いや、いないよ? 魔女なんて、いないんだけどね?

 立ち止まり、遠くに見える森を見つめる。
「……いない、よね?」
 私の呟きは、まるで森に吸い込まれていくように、静かな風に乗って消えていった。


 歩くほどに、周囲に樹木が増えていく。あれだけ広がっていた草原も今はもう見えず、辺りはすっかり森へと姿を変えていた。

 ……暗い。
 さっきまで眩しいほどにあった陽の光は、草原から森へと景色が移り変わっていくにつれ、細く弱々しくなっていき、今では葉のわずかな隙間から射し込むのみ。まだ昼間だというのに、感覚的には夕暮れ時。本当の夕暮れが訪れた時のことを考えると、かなり不安になる。
 一応、肩に下げてるバッグにいろいろ入れてきたから、松明くらいは作れるけど、暗くなったら動かない方がいい。ある程度進んで何も見つからなかったら、辺りが見える内に雨風を凌げそうな場所を探して、夜はそこで過ごそう。

 ……だけど、不安なのはそれだけじゃない。

「!」
 近くで、確かに何かが聞こえた。足音……?
 腰に差した剣へと、反射的に手が伸びる。

 ……気のせいじゃない。近くに、何かいる。

 そしてそれは、突然現れた。殺意を纏って。
「くっ」
 咄嗟に屈めた身体の上を、何かが風を切って通っていった。すぐさまその場から飛び退き、剣を抜く。
「……そりゃ、こんだけ暗けりゃ出るよね」

 構えた剣の向こうにいるのは、一つ目の化け物。黄色い大きな目玉と大きな口がある胴体から、両腕両足が生えている。この個体の背丈は、私よりやや低いくらいだろうか。
 こいつの名前はイエローアイ。見たまんまの名前の、魔物だ。

挿絵2-01

 魔物についてわかっていることは少ないけど、ひと気の無い暗がりが魔物の世界と繋がった時に出てくると信じられている。

 剣を構えたことを敵意有りと見たようで、イエローアイは甲高い奇声を上げながら突進してきた。
 振り上げる手、その指から伸びる刃物のように鋭い爪が、こいつの唯一の武器だ。

「おっと」
 爪で切り裂くことを狙うだけの、至って単調な攻撃。躱すのは簡単で、そこからの反撃も容易だ。

 横へ軽く跳んで攻撃を空振りさせた後、身体の捻りを加えつつ剣を突き出す。切っ先はイエローアイの大きな目玉をずぶりと貫き、おそらく頭蓋骨と思われる何かに刺さって止まった。
 直後振りかかるのは、イエローアイの悲鳴と紫色の鮮血。
「うわっ、きたなっ」
 慌てて剣を引き抜き、蹴りを放つ。その場に崩れ落ちかけていたイエローアイは、それを腹部に食らって吹っ飛んでいった。そして地面を一回跳ね、その先にあった樹木に衝突して静かになる。

 動く気配が無いけど、まだ死んでないはず。

 とどめを刺そうと近付いていくと、やっぱりまだ生きているようで、私の足音から逃げようとぷるぷると地面を這いだした。その姿に対し、哀れみなんて感じない。
 切っ先を下にして振り上げた剣を、一気に振り下ろす。こいつの心臓は、口の下辺り。そこを背中側から刺し貫くと、イエローアイは潰れたような声を上げてビクンとなった後、動かなくなった。


「あ〜、早く拭かなきゃ」
 バッグからハンカチを出して、服に付いた血を拭く。こういうのは、放っておくと洗っても落ちなくなっちゃうからね。

「……!」
 服や身体についた汚れを拭き始めてすぐに、手が止まる。脳裏をよぎるのは、「しまった」という言葉だ。
 その理由は、周囲でいくつも聞こえ始めた物音にある。舌打ちし、ハンカチをバッグにしまう。
 目だけ動かして見渡しただけでも、四体ほどの姿を確認できる。茂みに隠れて隙を窺っているようだけど、バレバレだ。

 ……そう。私は囲まれている。イエローアイの群れに。

挿絵2-02

 そうだよ。こいつらは、群れで行動することが多い魔物だ。
 一匹で現れたことを、もっと警戒しておくべきだった。

 ……これだけの数を相手にして、無事でいられる自信は無い。少なくとも、無傷では済まないだろう。逃げるにしても、やっぱり数の多さが問題だ。
 だったら、まずは数を減らすことを考えるべき。

 私は再び剣を構え、敵の出方を見ることにした。



■以下、作者コメント■

ちょっと遅いですが、あけましておめでとうございます。
予定通り、今回からまた毎週土曜日に更新していきます。

Part01掲載から2週間経ったわけですが、すでに文章だけは大体書き終わっています。
あとは、何度か読み直して、加筆・修正するだけです。
挿絵の方は、まだまだってところですね。それでも、何週分かのストックはあるので、余裕を持ってやっていけそうです。

で、物語を一通り書いてみた結果、パート数が12から13に一つ増えました。
後半になるにつれ、文章量が増えていってしまったのが原因です。
文章量は抑え気味にしようと思っていたのですが、どうしても描きたい場面が多くて溢れてしまったという感じです。

あと、この物語を書いていて思ったのですが、どうも以前書いていた小説と似ちゃってますね。
主に、“剣でモンスターと戦う少女”ってところが。
まあ、今回の主人公の方がだいぶ弱いんですけど。

それでは、また次回。
最終回までお付き合いいただけたら幸いです。よろしくお願いします。

■ 2016/01/09 更新

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