なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part03



Part03



 ガサガサと、草をかき分けて移動するイエローアイたち。……数は十体ってところか。
 なるほど。これだけいれば、別に姿を隠す必要も無いわけだ。どこからでも襲いかかれるぞっていうプレッシャーを与えるだけでも、かなり有効なわけだし。
 こいつらに、そういうことを考えるだけの知能があるのかは知らないけど。

 ……さて、襲いかかってくるまで待つべきなのか、ここは。
 いや、相手のペースに乗ってやる必要は無い。先に仕掛けよう。
 とにかく、前へ。私が元々向かっていた方向だ。

 私が駆け出すと同時に周囲で奇声が重なり、イエローアイたちが飛び出してきた。当然、私が向かう先からも。しかも二体。
 いくらこいつらの攻撃が単調なものだとしても、一体と二体じゃ話は別だ。少しでも時間差で攻撃されれば、対処しきれるかは微妙なところ。

 だからこそ、先手を打つ!

 剣を左手に持ち替え、空いた右手を腰のナイフへ伸ばす。それを抜き放つと同時に投げれば、狙い通りの軌道を描いて前方右側のイエローアイの目玉へずぶり。こういう時のために、日頃、ナイフ投げの練習は欠かしていない。

 目玉にナイフを食らったイエローアイは、悲鳴を上げてそのまま転倒。それを視界の端で確認した時、すでに私はもう一体のイエローアイへと剣を振り下ろしていた。
 突っ込んでくるだけしか能がないこいつらだけど、攻撃に対する防御本能はあるようで、しかしそれが自分の腕でとなると、笑うしかない。
 直後、両腕と共に目玉ごと斜めに身体を斬られたイエローアイも、地面を転がった。そりゃそうなるだろ。

 よし。これで前方に隙ができた。ちらっと後方を確認すれば、仲間がやられたことに怒っているのか、単に人間を襲うという本能に縛られているのかわからない勢いで、イエローアイの群れが追いかけてきている。

 あいつらの足はそれほど速くない。さっさと逃げよう。


 魔物との遭遇をできるだけ避けるため、その後は少しでも陽の光がある場所を早足で進んでいった。
 とは言っても、もうだいぶ陽は傾きつつある。ちょっと疲れたし、お腹も空いてきたし、そろそろ夜のことを考えて行動した方がいいな。

 まず見つけるべきは、今夜の寝床にできそうな場所だ。こんな危ない森の中で寝るのは嫌だけど、こんなこと今まで何度もあったし、慣れたといえば慣れたかな。
 でも、身体が汚れたまま寝るのは、まだちょっと抵抗がある。


 ちょうど良さそうなほら穴でも無いかなと、崖になっているところを探しては歩いて回るけど、そう簡単には見つからない。そうこうしているうちに、陽はどんどん落ちていく。
 木々の間から見える空はまだ明るいけれど、森の中はもうほとんど真っ暗だ。
 こりゃ本格的にヤバくなってきたな。これだけ暗いと、今まで以上に魔物と遭遇する可能性が高くなる。
 それだけじゃない。このまま完全に夜になれば、歩くこと自体が危険な行動になる。一刻も早く、休めそうな場所を探さないと……。


「……ここでいいか」
 用意してきた道具で作ったたいまつ。その明かりで照らす先には、崖にできたわずかな窪み。足を伸ばして寝ることはできそうにないけど、もう贅沢は言ってられないな。
「ふぅ〜」
 大きく息を吐きながら、窪みの中でへたり込む。バッグから水筒を出して水を飲めば、さらに大きな溜め息が出た。

挿絵3-01

「おっと、そうだ」
 たいまつの火が消えないうちに、焚き火を作っておこう。


 幸い、燃やす材料はいくらでも転がっている。それらを窪みの外に集め、たいまつから火を移した。
 これで、ようやく休むことができる。


 見上げれば、葉の隙間から星の輝く夜空が覗く。耳を澄ませば、入ってくるのは焚き火の音と虫やフクロウの声。それと、わずかな風の音。……静かだ。

「……ホントに、あるのかな」
 噂話でしかない魔女の家。そんなものを求めてこんな危ない場所を歩くのは、無駄ではないのか? いや、これだけ大きな森なんだから、魔女の家は無くてもほかに何かしらあるはず。……もう、何度もした問答だ。
 そう。魔女の家は無くてもいい。でも、こんなところに来ちゃった以上、手ぶらでは帰れない。意地でも、何か見つけてやる。
 そりゃね、魔女が金やら宝石やらを作っていたっていうなら、それを狙いたいって気持ちはある。でも、そればっかりにこだわってたら、別の何かを見逃しちゃうかもしれないでしょ。
 だから、魔女の家は探してみるけど、無くても別に構わない。それくらいの気持ちでいることが大切だと思うんだよね。

 ほら穴を探している道中で見つけた果実をかじる。
「すっぱ……」
 こんなことなら、無理にでもパンか何かバッグに入れてくればよかったかな……。


 翌日、朝早くから、私は森の探索を始めた。
 夜も静かだったけど、朝も静かだ。鳥たちの声が増えてきても、その印象は変わらない。
 穏やかでとてもいい場所なのに、魔物が出るくらい暗いっていうのが残念だね。


 上り坂を進むと、高台から森を一望できる場所を発見。朝陽の協力もあり、結構遠くまでよく見える。

挿絵3-02

「……ん?」
 ゆっくりと森へ巡らせていた私の目が、それを捉えた。まだそこそこ距離はありそうだけど、一部分だけぽっかりと木が無い場所がある。
 それを見てすぐに、私の足は動いていた。

 直感だ。あそこにきっと、何かある。



■以下、作者コメント■

パート3で新キャラを出す予定でしたが、思いのほか、魔物との戦闘シーンが長引いてしまい出せませんでした。
新キャラの気配くらいは描写したかったですね。もうちょっと展開を捻ればできたはずですが……。
どうも、伏線を張るという能力が未熟なようです。……結構致命的だなぁ。

それと、挿絵の話ですが、2枚目がどうしても森に見えないんですよね。
手前に木を描いてなかったら、本当になんだかわからなかったと思います。
できる限り背景は描くと決めてやっているのですが、伝わらなきゃ意味が無いんですよ、ホント。
まだまだ駄目だなぁ……。頑張ります。

■ 2016/01/16 更新

← Part02 | Part04 →


inserted by FC2 system