なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part05



Part05



 暗い青色の長い髪を持つ女性、……いや、私と同じくらいの歳に見えるその女の子は、真っ直ぐに私を見据えている。

 足音は無かった……はず。もしかしたら、私が草原をぼーっと眺めている間に近付いてきていたのか?
 それとも、彼女は元々ここにいて、後から私が来たのか。

 ……それにしても、この子の服、あれはなんだ。
 全体的にゆったりとした、ワンピース型の黒っぽいフード付きの服。丈が短くミニスカートのようになっているけど、あれってローブじゃないか?
 ローブなんて着るのは聖職者と、あとは……。

「聞こえなかった? あなたは誰なの?」
「――え? あ……」
 そうだった。この子の質問に答えなきゃ。
「えっと、私はビアンカ。トレジャーハンターだよ」
「トレジャーハンター?」
 訝しげにそう呟いた女の子は、後ろで束ねた髪を揺らしながら歩み寄ってきた。

 青色の瞳が、私を射抜くように睨んでくる。……綺麗な顔をしている子だな。

挿絵5-01

「トレジャーハンターって何?」
「え?」
 予想外の質問に、声が高くなってしまった。

 トレジャーハンターを、知らない?
 なんなの、この子……。

「……古い建物とか遺跡とかに行って、お宝を探して売るのが私たちの仕事だよ」
 とりあえず簡潔に教えてみたら、なぜか彼女の眼光が鋭くなった。
「あんたには渡さない」
 よくわからないことを呟いたと思ったら、彼女は私へ右の手のひらを向けてきた。
「え? 何?」
 反射的に、手を前に出しながら後ずさる。
「逃がさない」
「ちょっ……と……ま……」
 彼女の声を聞くと同時に、地面に立っている感覚が無くなった。全身に力が入らず、視界が傾いていく。
 傾いた視界は細く暗くなっていき…………


「う……うぅ……」
 ゆっくりと、目が開いていく。そして、背中側に固く冷たい何かが当たっているのを感じる。
 いや、違う。固い地面に倒れているんだ。青白い石でできた天井を見ながら、それを理解した。

「――って、ええっ?」
 慌てて身を起こし、上着が無くなっていることに気付いてさらに慌てる。
「目が覚めた?」
「――!」
 どこからか声が聞こえ、反射的に胸元を隠してから、それが聞き覚えのある声であることに気付く。

 視界を巡らせれば、鉄格子の向こう側に、見覚えのあるローブを着たあの女の子が現れた。
 その目は、また私を睨んでいる。
「ちょっと! これどういうこと? 何のつもり?」
 立ち上がって鉄格子を掴む私に、女の子は目を細める。
「何を言っているの? 捕まる理由なんてわかっているでしょう?」
「はあ? わかるわけないでしょ? さっさとここから出しなさいよ!」
 怒りに興奮する私とは対照的に、女の子は冷たい表情を崩さない。

挿絵5-02

「あんたには、しばらくここで過ごしてもらうから」
「何言ってんの?」
「安心して。私の用事が済んだら、出してあげる」
「意味わかんないんだけど。ちゃんと説明してよ!」
 しかし彼女は、もう話すことは無いとでも言うかのように私から目を逸らし、さっき出てきた方へ歩き出した。
「ちょっと待って! ここから出して!」
 私の叫びは、冷たい空間に虚しく響くだけ。彼女は振り返ることなく、どこかへ行ってしまった。
「なんなの? 勘弁してよ、ホント……」
 大きく溜め息。ずるずるとその場にへたり込み、また溜め息。

 ゆっくりと顔を上げ、辺りを見渡す。
 ……天井も、壁も床も、青白い石を並べて作られている牢屋。鉄格子越しに横に伸びる短い通路には、ほかにもいくつか牢屋が並んでいるようだ。
 一体、ここはどこなの?

「あっ」
 そこでようやく、上着以外にもいろいろ無くなっていることに気付いた。バッグも無いし、剣も無い。あの子に取られちゃったのか? きっとそうだ。

 ……そもそも、あの子は何者なんだ? どうして、森に一人でいたんだ? あんな危険な場所に。
 もしかして、ほかにも誰かいるのか? けど、何のためにこんな場所に?
 トレジャーハンターのことを知らなかったのも気になる。
 それに、あれだ。あの子に手のひらを向けられた後、突然襲ってきた脱力感。あれは一体、何だったんだ?

 ……考えられる可能性が、一つだけある。

 信じられないけど、あの子、……魔女なんじゃないか?
 私は、魔術で気絶させられたんじゃないのか?

「!」
 足音。まさか、戻ってきた? 鼓動がどんどん激しくなる。

 そして、彼女は再び姿を現した。



■以下、作者コメント■

というわけで、ようやく新キャラを出すことができました。
この女の子との出会いにより、主人公ビアンカはちょっとした面倒事に巻き込まれていきます。
巻き込まれ型の主人公の方が、話を作りやすくていいです。

挿絵二枚目の鉄格子が顔と重なる部分は、どうしようかとても悩んだところです。
なんかこんな表現を見たことあるような……って感じで、こう描きました。
でも、顔にかかる箇所もしっかり描いて、後でそこだけ透過した方が良かったかもしれないですね。
もしくは、顔にかからないように角度などを工夫するとか。……まだまだです。

■ 2016/01/30 更新

← Part04 | Part06 →


inserted by FC2 system