なんか作って載せます

挿絵は「メディバンペイント Pro」という無料ソフトで描きました。

オリジナル短編小説 「トレジャーハンターガール」Part09



Part09



 ローザの家から少し歩くと、私たちが出会った、あの森の中の草原に出た。
 洞窟は、草原を挟んだ向こう側の森にあるのだという。

「そういえば気になってたんだけど、私があの牢屋に入れられてから、何日経ってるの?」
 少し前を行くローザに問いかけると、すぐに「今日で七日目」と返ってきた。
「え」
 そんなにか。
 ……今頃、情報屋のオヤジは心配してるだろうなぁ。いつもは、二、三日で帰ってるし。
「その間、ずっと一人で家と洞窟を行ったり来たりしてたの?」
「その間というか、先生が亡くなってからはずっとだね」
 淡々とした口調だ。
 よく今まで一人で頑張ったね、……なんて言うべきじゃないんだろうけど、本当にそう思う。
 下手したら死ぬかもしれないのに、何度も危険地帯に足を踏み入れてたなんて、よっぽどその師匠のことを慕っていたんだろうな。
 そうじゃなきゃ、途中で諦めていたと思うし。

 少し歩く速度を上げて、ローザの隣に並ぶ。彼女は、そんな私をちらっと見る。
「ねえ、お互いさ、“あんた”じゃなくて名前で呼び合わない?」
「なんで? 友達でもなんでもないのに」
 ……この子はホント、人に物を頼む側の態度じゃないよなぁ。
「とりあえず、洞窟の奥に行くまではさ、協力し合う仲なわけじゃない? だから、少しでもお互いの距離を縮めておいた方がいいでしょ? そう思わない?」
 ローザは私の目をじっと見てから、前に向き直って「わかった」と呟いた。
「よし。じゃあ、ローザ。一緒に頑張ろうね」
 そう言ってみると、彼女は「う、うん」ともじもじし始めた。
 なんだ? もしかして、照れてるのか?

挿絵9-01

「ほら、私のことも名前で呼んでよ」
 促してやると、ローザは「……えと、よろしく、ビアンカ」と言って、横目で私を見てくる。
 そんな彼女に「うん」と頷きながら、思う。
 この子、たぶん人と接することにあまり慣れていないんだろうなぁ、と。


 草原から再び森へと入ってすぐに、その洞窟は見えてきた。
「……ん?」
 ちょっとした斜面にぽっかりと口を開けた洞窟の入り口周辺には、光の玉がいくつも浮かんでいた。
 青白い、少し不気味な光を放っている。
「これも魔法?」
「うん。光をつけてる間はずっと魔力を使うから、あまり多くは出したくないんだけど、この辺りは暗いから仕方ないの」
 言われてみれば、この辺りは鬱蒼とした森の中でも特に樹木が密集している気がする。
 陽の光はほとんど入ってこない。
「もしかして、この光をたくさん出したままにしてるから、どんどん疲れた顔になってたわけ?」
「それだけじゃないけど、まあ、そういうこと」
 じゃあ、早いとこ洞窟の奥に辿り着かなきゃいけないな。ローザが疲れ切ったら、光が消えて一巻の終わり、ってことになりかねないし。
「行くよ」
 先に歩き出したローザに続き、私も洞窟へと足を踏み入れた。


 洞窟内はほぼ一本道で、壁には等間隔に魔法の光が並んでいる。そのおかげでかなり明るく、当然魔物は一体も出てこなかった。


 その状態は、かなりの時間続いた。
 それだけ、ローザがたった一人で頑張ったってことだ。
 もう、随分奥まで進んだような気がする。


 しかし、とうとう目の前に闇が広がる地点まで来てしまった。隣のローザを見れば、右腕に触れて苦い顔をしている。
 どうやら、この辺りで怪我を負ったようだ。

「一番奥まであとどのくらいか、わかる?」
 聞いてみるが、ローザは首を横に振った。
「先生には、あまり近付かないように言われていたから……」
「そう……」
 再び闇へ目を戻す。……マジで暗いな。いつ魔物が飛び出してきてもおかしくない。
 ローザは杖を前に出す。すると、先端の石が光を放ち、杖が振られるのと同時にあの魔法の光が生まれた。それをいくつか作り、前方へ飛ばしつつ歩き出す。
 私も剣を抜き、その後を追った。


 光を増やすごとに、ローザの疲労が濃くなっていく。あれだけの数の光を維持しているんだから、当たり前なんだけど……。

「ちょっと休憩する?」
 しかし、彼女は頷かない。
「休んでも無駄。光をつけてる限り、魔力は消費するから」
 そうだった。でも、もう歩くのも辛そうだ。少し前から、明らかに歩く速度が落ちてきている。

 そんな彼女を見て、ここで初めて思った。私も魔法を使えたら良かったのに、って。
 そうすれば、光を出すのを手伝うことができ――
「――うぐっ!」
 突然何かが現れたのと同時に、隣にいたローザが消えた。いや、吹き飛ばされたんだ。
「ローザ!」
 彼女の身体は地面を跳ね、壁にぶつかって止まった。
「――あっ!」
 次の瞬間、視界が真っ暗になる。魔法の光が消えたんだ。
「ローザ! 大丈夫なの? 返事してっ!」
 気絶でもして、魔力が使えなくなったのか? こんな闇の中じゃあ、それを確認することもできない。
 それにしても、一体何が出てきたんだ? いや、魔物だってことはわかる。でも、まだその姿をはっきりとは見ていない。

 剣を構え、無駄と知りつつも視線を巡らせる。急激に、恐怖が湧き上がってきた。
 こんな真っ暗闇の中で、魔物と戦うのは無謀すぎる。奴らには私の姿が見えているんだろうけど、私の視界には闇しかないのだから。

 ……とにかく、最後にローザを見た方向へ移動しよう。えっと、どっちだ?
 じりじりと動いてはみるものの、正直、こっちで合っているのかはわからない。
「ローザ? どこにいるの? ねぇ!」
 呼びかけながら、歩く、歩く……。
「お願いだから、返事を――」
 前に出した足が、地面を踏む感触が、無い……?

挿絵9-02

「う――」
 身体が傾き、咄嗟に手を伸ばすけど、そこには何も無かった。

「ああああぁぁぁぁ!」
 落ちた。そう確信してから、とてつもない衝撃が身体を襲うまではほんの一瞬。

「がっ……はっ……」
 一気に全身を駆け巡る激痛も一瞬。すぐに、何も感じなく――



■以下、作者コメント■

挿絵1枚目、2人のキャラの足の太さが違いすぎるというか、なんか違和感があります。
この2人の身長差はほぼ無いっていう設定なんですが、向かって左のローザの方が大きく見える……。
フカンの角度って、描くの難しいですね。

こんなふうに違和感を見つけるたびに、「ああ、まだまだだな」って感じます。
せめて、そういったことを感じなくなる程度には、絵を上達させたいです。
それが難しいんですけどね。

■ 2016/02/27 更新

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